町麻衣 連載10周年インタビュー Part 1

連載10年。ついに通算100話を迎えた『アヤメくんののんびり肉食日誌』。
今回はそれを記念して、改めて町麻衣先生にデビューや連載までの道のりや作品について伺いました!
株式会社シュークリーム(マンガ編集プロダクション) 2022.06.08
誰でも

牛舎に行って体調悪くなったりしていた酪農家の娘

——町先生がマンガ家になろうと思ったのっていつごろなんですか?

町 小さいころから絵を描くのは好きだったので、画家でもなんでもいいので漠然と絵を描く仕事をしたいとは思っていました。

——子どものころってどんなマンガを読んでました?

町 小学校のころは「りぼん」とか「なかよし」とかですかね。黒板にセーラームーンの絵を描いたりしてました。中高生くらいになると、ジャンプや花ゆめとかも。

——当時からもうマンガは描いていたんですか?

町 小学生の頃は、ちょっとした4コママンガを描いて友だちに見せたりしてる程度でした。スマホの絵文字みたいなクラゲのキャラが主役のギャグです。中学生くらいになると、友達とジャンプ作品のキャラクターを2等身くらいにした謎のリレーギャグ漫画をノートに描いていました。

——今だったらいろんな人がTwitterに載せているショートマンガみたいな感じですかね。

町 もっとクオリティは低いですが(笑)。ちゃんとしたマンガを描いたのは専門学校に入ってからです。

——札幌の専門学校に進まれたんですよね。

町 はい。私の通っていた高校は人数も少なく、進路と言えば就職が多くて、あとは専門学校。大学に行く人は少数って感じだったんですよね。就職も大学も行きたくなくて、漫画家にならなりたいと思ったので、マンガ学科のある専門学校に行きたいって親に言いました。

——でも、実家は酪農をされてるんですよね。家業を継いでほしいとかはなかったんですか?

町 そうですね。私が動物の毛のアレルギーだったこともあって。

——え、そうなんですか!?

町 猫とか鶏が1番激しいですけど、よく牛舎に行って体調悪くなったりしてました(笑)。

暖かいところへ行こうと思って静岡で出稼ぎ

——専門学校時代はどんなことを?

町 授業の課題をやったりもありましたけど、1年生のときに担任の先生が「お前ら、持ち込みに行けば?」って言うんで「はい行きます!」という感じで、持ち込み用の原稿を描いてました。そこで初めてストーリーマンガを描き上げました。

——どんなものを描いたか覚えてますか?

町 男子高校生が母親の墓参りに行くみたいな話だったと思います。当時は青春ものみたいなものを描いていましたね。でも、描きたいものを描いてるという感じで、エンタメ性もなかったです(笑)。それを持って1年生の夏に東京に持ち込みに行きました。

——ストーリーマンガを描くのも、いわゆる原稿用紙に描くのも初めてだったんですよね?

町 原稿用紙とかGペンみたいな画材は授業で触ったのが初めてでしたね。まだ慣れないけど16ページ描きました。

——そのときはどこに持ち込みに行ったんですか?

町 いろんなところに行きました。ビッグコミックとかLaLa、花ゆめとか2~3泊して1日3社くらい行きました。当時は出張編集部やデジタル持ち込みみたいなものもなかったので、友達と相談しながら電話でアポを取って行きました。

——エネルギッシュですよね。専門学校とかでも描かない人は描かないまま卒業したりするっていうじゃないですか。町さんはバリバリ描くタイプだったんですね。

町 そうですね。当時は「マンガ家になれなかったら負けだ」って思ってたんです(笑)。いきって頑張ってたんですけど、何度か持ち込みに行っても担当さんは1人も付かなかったんですけどね。

担当 漫画を描いたこともなかったのに、描き始めて3ヶ月で北海道から東京に持ち込みに行ったと聞いて、すごい行動力だと驚きました。

町 1泊3000円の北千住の宿に泊まってました(笑)。

——デビューはいつだったんですか?

町 在学中にデビューしました。投稿作も描いていたので、その投稿作が専門学校卒業前くらいに月刊マガジンZに載ったんです。今とは違うペンネームです。

——マガジンZ(2009年休刊)! 今の作品からすると意外な雑誌でデビューしたんですね。

町 「キャップ侍」っていうキャップをかぶった侍の話でした。ちょっと『銀魂』に影響受けたみたいな(笑)。

——今からはちょっと想像できない作風ですね。でも、順風満帆なデビューじゃないですか。

町 でも、それからしばらくは大変でした。とりあえずデビューして、そのあと小学館でも担当さんが付いたりしていたので、卒業後はバイトしながらマンガを描いていこうと思ってやっていたんですけど、やっぱりお金がないんですよね。(投稿作の)賞金もそんなにもらえるわけじゃなかったし、バイトで生活費を稼ぐとなるとマンガに集中できなくなっちゃう。だから、札幌の部屋を引き払って出稼ぎみたいなことをやった時期もありました。住むところを用意してくれて働くバイトってあるじゃないですか。

——ありますね。

町 寒いところに住んでいたので暖かいところに行こうって静岡にあるパナソニックの工場で3ヶ月働いてお金を貯めて札幌に帰ってきてまたマンガを描いたりしてました。

担当 なかなかにハードな時期があったのですよね…。

コピーOKなんて優しい編集部があるんだ!

——お金の問題は大きいですよね。

町 大きいですね。とにかく漫画だけ描きたかったんですよね。貯金5万円くらいしかないのにバイトをやめたりとかしてました。

——無鉄砲(笑)。

町 雑誌に投稿したら5万円くらいもらえるんじゃないかとか思ってて(笑)。

——受賞前提なのもですけど、もらえたとしても焼け石に水という感じがする額なんですが(笑)。

町 そうなんですよね(笑)。すると転機が訪れたんです。あるとき、私が卒業した専門学校の元担任の先生から連絡がきたんです。三宅乱丈先生が特別授業で今度学校にいらっしゃるから、よかったら見学に来ないか、と。「はい行きます!」と。

——持ち込みのときと同じ返事だ(笑)。

町 もしかしたらアシスタントの仕事をもらえたりしないだろうか?とちょっと期待してました。でも当日は三宅先生とは挨拶をさせてもらうくらいで特に何もなく…アシスタントは間に合っているということか…ととぼとぼ帰路につきました。帰って貯金なさすぎてやばいな~って寝っ転がって天井を見上げていた時に、また元担任の先生から電話がかかってきて、今度は「三宅先生がアシスタントを探してるらしいんだけど行ってみないか」と。「はい行きます!」ですよね。

——三宅先生が何を描かれてたころですか?

町 「イムリ」がはじまったころですね。「ぶっせん」の新装版が出るってことで、そのアシスタントも必要だったみたいで。

——そこでアシスタントをしながら自分の原稿も描いていたんですね。

町 はい。それで2年くらい経ったころにフィール・ヤングと出会ったんです。

——とうとうフィール・ヤングが出てきましたね。きっかけは何だったんですか?

町 投稿作を描いていろんなところに送っていたんですが、その当時ってどこも生原稿を送らないといけなかったんです。

——ああ、そうするとひとつ描いたらひとつの編集部にしか送れないし、ダメでもいつ戻ってくるかわからないですよね。

町 でも、フィール・ヤングは原稿のコピーでオーケーって書いてあって。「そんな優しいところがあるのか!」って、今まで描いた原稿で自分が好きなものを全部コピー取って送ったんです。すごい分厚いのを(笑)。

——すごい量(笑)。そこからフィール・ヤングで描くことになったんですか。

町 でも、連絡が来たのは1年後でした。作品の講評シートみたいなものと一緒に編集さんの名刺が入っていたので、すぐに電話して「ネーム送っていいですか?」って。

——すぐに電話したんですね。さすが行動派。

町 確か「もしやる気があるなら電話ください」みたいなことが書いてあったんです。当時ケータイマンガとかもいろいろ描かせてもらっていたんですけど、雑誌に載りたかったので。

(インタビュー・文/小林聖)

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